出典:厚生労働省ホームページ
こんにちは!広告代理店エー・ディー・ビーのブログ担当です。
今回のテーマは最低賃金についてです。
平成29年10月より最低賃金が変わります。
厚生労働省で2017年7月に実施された第49回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申がとりまとめられ、報道機関に公表されました。
今年度の引き上げの目安は、全国加重平均額が25円となり、昨年度の24円を上回る数値となりました。
全都道府県で20円を超える目安額となっており、引き上げ率は3.0パーセントとなります。
各都道府県においては、この目安額を参考にしながら各地方最低賃金審議会で答申を行ないます。
そこでは、地域における賃金相場の実態や、参考人の意見なども含めて審議を行ない、最終的には各都道府県の労働局長が地域別最低賃金額を決定します。
この目安のとおりに最低賃金が決定されれば、最低賃金が時給換算で決められるようになった平成14年以降、最高額となります。
この最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて国が賃金の最低限度額を定めるものです。
雇用主は、雇用する従業員に対してその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないものとされています。
これは法令化されているものであり、その最低賃金額を下回る賃金を雇用主と従業員の双方が合意のうえで決めて、雇用契約を結んだ場合であっても、その金額は法律によって無効とされ、最低賃金額での契約を結んだものとされます。
定められた最低賃金額を無視して、最低賃金額未満の賃金支払いしかしなかった場合は、最低賃金額との差額を従業員に支払わなければなりません。
その支払いをしない場合は、最低賃金法に定められた罰則により、罰金を払わなければなりません。
罰金の額は、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は上限50万円、特定最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は、上限30万円となっています。
ただし、最低賃金法を適用されない特例もあります。
心身の障害を持っているため、労働能力が低い労働者や、正式雇用前の使用期間中の労働者については、雇用主があらかじめ都道府県労働局の許可を受けることにより、最低賃金額より労働能力その他の事情を考慮したうえで減額を行なうことができるとされています。
また、正社員、契約社員、アルバイト、パート等の雇用契約ではなく、代理店や業務委託、個人事業主の扱いとなる就業形態については、最低賃金法の適用は行なわれません。
最低賃金には2種類ある
最低賃金には、地域別最低賃金と、特定最低賃金との2種類があります。
地域別最低賃金は、業種や職種の区別なく、都道府県のすべての労働者に適用されるものです。
特定最低賃金は、特定の産業及び職業の労働者に適用されるものです。
それらの最低賃金は、先述のとおり厚生労働省の定めた目安額をもとにして、都道府県ごとに決定されるものです。
その決定は、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して行なわれます。
労働者の生計費は、労働者が健康で文化的な生活を営むことができるように、都道府県においての生活保護にかかる施策との整合性に配慮して決められます。
最低賃金の金額は都道府県によって差があり、改定前となる現行の金額の最高は東京都の932円、次いで神奈川県の930円、最低額は沖縄県と宮崎県の714円となっています。
やはり、都市部では生計費が高くなることもあり、最低賃金も高い水準となっています。
雇用者が気をつけておくこと
従業員を雇用する立場にある雇用者は、事業所がある都道府県の最低賃金の額を把握し、従業員に支払う給与がその額を下回らないよう、常に気をつけるべきです。
これは事業を行なう方にとっての義務であり、「知らなかった」ではすまされないことです。
仮に、最低賃金額を知らずに、その金額を下回る給料を支払い続けていた場合、それが発覚すればそれまでの給料の支払い額から計算し、未払いとされている金額を追加で支払わなければならなくなります。
その金額の支払いが不能、あるいは困難という理由で未払いの状態を続けると、次はその金額や程度に応じての罰金刑を科せられることになります。
罰金を払っても、未払の賃金支払いが免除されるわけではなく、支払わなければならない金額が増大してしまうことになります。
そのような事態を避けるためにも、常に最低賃金額改定の動向をチェックし、最新の最低賃金額を把握し、従業員の給料がその額を下回ることになっていないかを確認することが大切です。
小規模の会社では雇用主である社長自らが経理の面も管理されており、最低賃金の額を把握していることが多いでしょう。
しかし、経理部門がある会社では、経営者は給与額の計算等をその部署にまかせっぱなしにしていることが多くあります。
もちろん必要に応じて、経理部門から経営者に報告や確認などがなされることになりますが、やはり企業のトップ自身も現行の最低賃金の額を把握しておくべきでしょう。